社会から期待される歯科衛生士・一生の仕事として
超高齢社会に突入し、社会が求める歯科医療も変化してきています。
診療室に来院できない高齢者の方、また障がいのある方、福祉施設に入所されている方などへの口腔保健管理も求められています。実際に施設で口腔ケアを続けた結果、誤嚥性肺炎が減少したとのデータもあり、これから歯科衛生士は診療室以外でも幅広い分野での活躍が期待されています。
また、近年、審美的な面などからホワイトニングやインプラントなどを希望される方も多くなり、進化する歯科医療では歯科衛生士は重要な役割を担っています。歯科衛生士という仕事は、経験を重ね、キャリアアップすることで活躍する分野を広げることができます。現在、歯科衛生士の仕事を一生の仕事としている人も増えてきています。
まだまだ不足している歯科衛生士
歯科診療では歯科医師1人に対し2人以上の歯科衛生士が望まれています。
現在歯科衛生士として働いている人数は全国で 142,760人。歯科医師は 107,443人です。(厚生労働省保健統計 令和 2年より)
歯科衛生士はまだ必要とされる人数に足りていないのが現状です。
授業科目
隣接医学・救急蘇生法
高齢者が4人に1人を占める超高齢者社会においては、全身的な病気をもった患者さんに接する機会も多くあります。
様々な病気の原因や症状、治療方法などを学習し、また患者さんが、突然具合が悪くなられた時に、適切な救急処置が行えるよう基礎知識を学び、実習も行います。
保健指導法
歯科衛生士は、歯科診療室でのむし歯や歯周病の予防処置、歯科診療の補助、患者さんや地域でのお口の健康管理が主な仕事です。
お口の中の専門的な手入れの仕方やその為に必要な用具の使用方法、また患者さんとのコミュニケーションについて学びます。
介護技術法
高齢者や障害をもつ方のお口の衛生管理をするためには、介護の技術を身に付けることも必要です。社会の中でも役立つ車イスの操作や食事の介助なども演習します。
歯科材料学
歯科医療では、様々な人工材料を使用します。
各材料の特徴を理解し、処置方法にあった材料の選択や使用方法を学習します。ホワイトニング(歯の漂白)やインプラントについても学びます。
社会学
歯科衛生士は、社会を構成する一員として、世の中がどのようなメカニズムで動き、構成されているかを理論的に分析できる力が大切です。
社会の成り立ちや時事問題について学び、自身の意見を発信できる力を身につけます。
歯科補綴学
歯を失った時に生じる弊害を学び、さらに人工物を用いて、お口の機能及び外観を回復させる入れ歯などの作成手順など様々な処置法について学びます。
お口の機能を回復させ管理するためにもとっても大切です。
小児歯科学
医科に小児科があるように歯科にも小児歯科があります。
健全な小児の育成には、発育段階に応じた体やお口の特徴を学び、小児への対応の仕方や噛む機能、むし歯の予防などを学びます。自身が親になったときにも大変役立ちます。
また、これらの学習を踏まえて、幼稚園において歯磨き指導の実習も行います。
摂食機能訓練法
「食べる」ことは「生きる」ことを支える基本です。歯科衛生士は患者さんが楽しく、おいしく、安全に食事をするために歯科医師の指示のもと、お口の機能の評価や訓練を行い食支援を行うことができます。
講義では食べるために必要な解剖学的知識や脳の働き、演習では実際にカメラを用い「ごっくん」する様子を見学し、嚥下食の試食や食事介助の方法などを学びます。
歯科矯正学
審美的に歯並びをキレイにするだけでなく、患者さんに適した咀嚼機能を獲得するための咬合の治療でもあり、お口の機能訓練も行います。
患者さんの発育に応じた専門的な矯正治療の方法や使用機材を学び、さらに歯科衛生士としてどのように患者さんのサポートしたほうがいいのかを学んでいきます。